玄関先の階段は、高齢になるにつれて転倒リスクが高まる場所のひとつです。
それにもかかわらず屋内階段に比べて段数が少なく、使用頻度も限られるため、対策が後回しになりがちです。しかし、実際には転倒事故につながる危険性は決して低くありません。
そのような不安を解消する方法として有効なのは、座ったまま安全に移動できる「いす式階段昇降機」です。
今回は、江別市のN様邸にいす式階段昇降機を設置した事例を紹介します。
N様邸で階段の昇り降りに問題を抱えているのは奥様です。
奥様は脳が萎縮する病気を患っており、歩行障害や言語障害の症状があります。
室内外の移動や階段の昇り降りにはご主人の介助が欠かせない状況で、特に玄関先の屋外階段は外出時の不安要素となっていました。
実はN様ご家族は、3年前にもいす式階段昇降機の設置を検討されていました。
しかし、当時相談した福祉関連事業者から「将来的に施設へ入所する可能性が高いため、設置を見送ったほうが良い」とアドバイスを受けて断念した経緯がありました。
たしかに脳の萎縮が進行すると認知機能や判断力、運動機能に大きな影響が出ることから、実際に施設入所を選択されるケースも少なくありません。
それでも、N様邸の奥様は現在もご自宅で生活を続けることができており、症状も安定しています。
さらに今年の夏には外壁工事が予定されており、「今後も安心して自宅で暮らせる環境を整えたい」という思いから、このタイミングでいす式階段昇降機の設置を決断されました。
今回いす式階段昇降機を設置したのは、玄関先にある11段の屋外直線階段です。
階段には雪や雨、冷たい風の侵入を防ぐ風除室が設けられていました。

▲設置前の階段の様子
今回N様邸に設置した機種は、屋内タイプの「エスコートスリム」です。
エスコートスリムはコンパクト設計が特徴で、設置後も階段幅を確保できます。
・インテリアに合わせて選べる5色展開
・コンパクトに収納できる折りたたみ機能
・壁からの出幅を10cmに抑えたスリム設計レール
・乗り降りしやすい巻き取り式シートベルト
・安全性を高める2段階のいす回転機能
・操作性を高めるひじ掛け・足のせ台連動機能
・直感的に操作しやすいレバースイッチを採用

▲下階の様子

▲上階の様子(左:停止位置 右:乗降位置)
屋外階段に屋内タイプの機種を採用した理由は、風除室が設けられていたためです。
反対に風除室がない、あるいは設置しない場合は、屋外タイプの機種を選定する必要があります。
つまり、屋外階段への設置では主に以下の組み合わせになります。
・屋内タイプ + 風除室あり
・屋外タイプ + 風除室なし
このように、いす式階段昇降機の機種選定は階段形状だけでなく、住宅環境にも配慮する必要があります。
今回の事例における設置時の課題は、階段1段目にある扉です。
そのままでは扉と本体が干渉し、手を挟む恐れがありました。そこで次の2つの工夫を施しています。
・下階の停止位置を調整
玄関フードの引き戸を閉めた際に、手を挟まないよう昇降機の停止位置を細かく調整しました。

▲扉に手を挟めない位置に調整
・下階に足台を設置
下階の乗降場所には、スムーズに乗り降りできるよう足台を設置しています。なお、こちらは福祉用具貸与事業者様にご対応いただきました。

▲下階 足台を設置
このように、実際の生活動線や住宅環境に合わせて細かな調整を行うことで、より安全で使いやすい階段昇降機の設置を実現しています。
設置後、N様からは「昇降機がとてもスムーズに動き、屋外階段でも安心して使用できます」とのお声をいただきました。
さらに今後は、住居内の移動をより安全にするため、手すりの設置工事にも取り掛かる予定とのことです。
屋外階段は、屋内階段と同様に転倒リスクへの対策が必要な場所です。
特に高齢者や歩行に不安のある方は、大きな事故につながる可能性があります。
このような方は、早めにいす式階段昇降機を設置し、安心して暮らせる住環境を整えることが大切です。
「屋外階段の昇り降りが不安になってきた」「介助の負担を減らしたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。