高齢者や障がいのある方が利用する介護施設では、上下階を安全に移動できる環境づくりが欠かせません。
ただし、もともと別の用途で使われていた建物を介護施設に改修する場合は、建物の構造や費用の面からエレベーターの設置が難しいこともあります。
こうした課題に対する現実的な解決策として注目されているのが、いす式階段昇降機です。
本記事では、同様の課題を抱えていた生活介護事業所様がいす式階段昇降機を設置した事例を紹介します。
今回紹介するのは、札幌市で生活介護事業所および生活訓練事業所を運営されている介護施設事業者様です。
同事業所では、以下のような介護サービスを提供しています。
・居宅介護
・移動支援
・生活介護
・生活訓練
将来的には、利用者様が施設外で就労できる機会の創出を目指しているとのことです。
現在の施設は、1階と2階を生活介護事業所、3階を事務所として活用しています。
もともとは寮として使われていた建物で、介護施設として利用する際の課題は、昇降設備がないことでした。
利用者様の中には、自力で階段を昇り降りするのが困難な方もいて、昇降設備が不可欠だからです。
しかし、エレベーターの設置は建物の構造上の制約や費用面から困難だったため、いす式階段昇降機の設置を決断されました。
また、以前からその有効性を認識していたことも、決断の後押しとなったそうです。
施設内の階段は、以下のような構造になっています。
・1階から2階:18段の180度曲線階段
・2階から3階:16段の180度曲線階段
当初、3階が事務所のため、いす式階段昇降機の設置は2階までを検討していたそうです。
しかし、将来的に3階を利用者様が使用する可能性を考慮し、1階から3階までの区間に設置することになりました。
今回設置した機種は、曲線階段用いす式階段昇降機「楽ちん号KF-W」です。
昇降時の安定感や乗り心地の良さに加えて、バッテリー内蔵式で「停電時でも利用できる点が安心です」と、好評をいただいています。
主な特長は以下のとおりです。
・コンパクトに収納できる折り畳み機能を搭載
・いす回転機能を搭載
・自動停止機能を搭載
・バッテリー内蔵で停電時でも利用可能
・介助に便利な無線式の呼び送りスイッチを付属
▲楽ちん号KF-W(左:乗降位置 右:折り畳み時)
▲180度曲がり部分のレール
▲左:3階停止位置 右:3階乗降場所(いす回転)
今回のいす式階段昇降機の設置において、工夫したポイントは2階の停止位置です。
通常の停止位置では、レールと本体が干渉し、いすを回転できません。
そこで、停止位置を180度曲がり部分に変更し、フラットな床面で安全に乗降できるように調整しました。
床から座面までの高さは600mmとなりましたが、職員にとって介助しやすい高さになりました。
▲2階 乗降場所
▲床面から座面までの高さ600mm
設置後、職員の方々からは、「利用者様が怖がらない丁度いい速度で、音も静かなので大変助かります。」や「多くの利用者様に使ってもらいたい。」といった声が寄せられています。
また、利用時は安全面を考慮し、職員が操作しているそうです。
エレベーターの設置が難しい建物において、いす式階段昇降機は安全な移動手段を実現できる有効な選択肢です。
とくに今回のように、もともと別の用途だった建物を介護施設へ改修するケースで役立ちます。
導入に関して疑問やご不安があれば、どうぞ北日本メディカルまでお気軽にご相談ください。
経験豊富なスタッフが、施設の状況に合わせて最適なプランをご提案します。