認知症の方にとって、階段は日常生活の中でも特に危険な場所の一つです。
しかし、住環境によっては階段の昇り降りを避けられない方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、そうした方やご家族に向けて、階段の安全対策として「いす式階段昇降機」を設置されたN様邸の事例を紹介します。
認知症を患うと、以下のような複数の要因が重なり、階段の昇り降りの危険性が増します。
・判断力の低下
・空間認識能力の障害
・身体機能の低下や障害
・バランス感覚の低下
・注意力の低下
具体的には、段差の高さや足の置き場を正しく認識できなくなったり、身体機能の低下からつまずきやすくなったりします。
また、「まだ大丈夫」という思い込みから無理に昇降してしまうことも少なくありません。
そのため、認知症の方には早めの階段対策が重要です。
N様邸は、ご夫婦の二人暮らしです。
住宅は3階建てで、1階が駐車スペース、2階と3階が居住スペースです。
玄関へ行くには、12段のコンクリートでできた曲線階段を昇る必要がありました。

▲設置前の階段の様子
しかし、奥様は認知症を患っており、階段の昇降に介助が必要な状態です。
2024年には安全対策として手摺を設置したものの、その後さらに身体状況が悪化し、ご主人の介助による昇降も困難になっていました。
そのような中、親戚が曲線階段にいす式階段昇降機を設置され、その様子をご覧になったご主人は奥様のために設置を決断されました。
今回設置した階段は外階段ではあるものの、風除室(玄関フード)内にあるため、屋内用の機種を採用しました。
設置機種は、屋内・曲線階段用いす式階段昇降機「楽ちん号 KF-W」です。

▲楽ちん号 KF-W (上階)
・折り畳み機能付きで、使用しないときはコンパクトに収納可能
・直感的に操作できるレバースイッチを採用
・ラックカバー付きで巻き込みなどの事故を防止
・キースイッチ搭載で、誤操作やいたずらを防止
・介助がしやすい無線呼び送りリモコン2台付属
・バッテリー内蔵のため、停電時でも10往復程可能
・ひじ掛けと足のせ台が連動するため、立ったまま操作可能
今回の設置にあたり、工夫したポイントを紹介します。
上階のガラス扉は設置前、両方向に開く仕様でした。そのままでは、上階に停止した本体と扉がぶつかる恐れがあるため、階段昇降機側へ扉が開かないようストッパーを設置し、安全を確保しました。

▲扉と本体の位置関係
2024年に設置した手摺を撤去しないで済むように、本体が干渉しない位置にレールを配置しました。この工夫により、ご主人の安全も確保しています。

▲昇降時の様子
下階に収納すると出入りの妨げになる可能性があるため、階段の途中に収納位置を追加で設定しました。

▲追加設定した収納位置

▲下階に本体があるときの様子
北日本メディカルは、これまでに2,700件以上の納入実績があります。
豊富な施工経験と技術力を活かし、ご利用者様とご家族様にとって最適な機種と設置方法をご提案しています。
いす式階段昇降機について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。