いす式階段昇降機の設置には、確認申請が必要な場合と不要な場合があります。
しかし、要否の判断が難しいケースも多く、お施主様から相談されて対応に苦慮されている建築業者様もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、そのようなお悩みを抱える建築業者様の参考となるように、専用階段のため確認申請が不要と判断されたN様邸の事例を紹介します。
階段昇降機を後付けする際、新3号建築物の場合は原則として確認申請が不要です。
新3号建築物とは、2025年4月に法改正により改定された区分で、簡単に言えば延べ床面積200㎡以下の平屋のことです。
他にも、申請者の手続き負担軽減を目的として、「使用頻度が低い等の理由により人が危害を受けるおそれのある事故が発生するおそれの少ないもの」に該当する場合は、確認申請を不要とする例外規定も設けられています。
その条件は次のとおりです。
・籠が住戸内のみを昇降するもの
・2階建て以下(高さ16m以下)で延べ面積が500㎡以下の建築物
ただし、建物の新築と同時に階段昇降機を設置する場合は、確認申請が必要です。
今回ご依頼いただいたN様邸では、70代の奥様が階段の昇り降りに不安を抱えていました。
奥様は筋力の低下に加え、膝や腰にも持病があり、今年に入ってからは特に膝の状態が悪化。普段は車いすを使用し、在宅時はベッドの上で過ごす時間が多いとのことでした。
膝を曲げる動作も困難なため、立ち上がりや靴の着脱などもご主人が介助されているとのことです。
このようなご夫婦が抱えていた問題は、住まいが2階にあり、1階から2階まで18段のコンクリート階段を上らなければならないという点です。
なお、お住まいはN様が所有するビルで、1階にはテナントが入居しています。
こうした状況から、転倒・転落の危険性を懸念し、ご主人が建物を管理する建築会社様へ相談されました。

▲設置前の階段の様子
ご主人から相談を受けた建設会社様は当初、エレベーターの設置を検討されたそうですが、構造上の問題で断念したとのことです。
その後、インターネットで解決策を探される中で階段昇降機を知り、当社へご連絡くださいました。
お問い合わせ後の流れは次のとおりです。
1.建物図面の確認
2.現地調査
3.旭川市建築指導課への相談
4.いす式階段昇降機の設置
今回は、確認申請の要否の判断が難しく、旭川市建築指導課に相談することにしました。
今回の階段は、1階の共有ホールからN様邸へと続く構造になっていたため、例外規定に該当するか判断が困難でした。
そこで、旭川市建築指導課に相談したところ、以下の回答を得られました。
「階段を上った先がすぐに玄関となっているため、N様邸につながる専用階段と判断できます。」
つまり、不特定多数の利用を目的としておらず、例外規定に該当するために確認申請は不要という結論となりました。
一連の流れにより、可能な限り早期にいす式階段昇降機「エスコートスリム」を設置できました。
設置後の様子は以下のとおりです。

▲1階の様子(左:乗降位置 右:折り畳み時)

▲手摺に干渉しないように設置

▲2階の様子(左:停止位置 右:いす回転時)
これまで階段の昇り降りはご主人が介助されてきました。
そのような背景から、奥様はご主人の負担を軽減できること、安全に移動できることを大変喜んでおられました。
近年、「階段の昇り降りがつらくなってきた」というお施主様からのご相談を受ける建築業者様が増えています。
一方で、建築業者様からは専門外の分野であるため、「どのように回答すればよいのか分からない」とお困りの声も多く聞かれます。
・階段昇降機について詳しく知りたい
・設置できるかどうか判断してほしい
・どの機種が適しているのか相談したい
・費用について確認したい
このような階段昇降機に関するご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。
大切なお施主様のご要望を一緒に叶えましょう。