階段で転びそうになったり、足を踏み外しそうになったりした経験はありませんか。
このような「ヒヤリ」とする瞬間は、重大な事故につながる危険信号です。
階段での転倒や転落は、骨折や入院につながるケースも多く、場合によっては寝たきりの原因となることもあります。
今回は、階段のヒヤリハットをきっかけに、いす式階段昇降機を導入されたW様邸の事例を紹介します。
ヒヤリハットとは、「事故には至らなかったものの、ヒヤリとした、ハッとした危険な出来事」を指します。
特に階段でのヒヤリハットは、本人だけでなく、介助を行うご家族にとっても大きなリスクです。
階段でバランスを崩すと、支えている介助者も体勢を崩し、一緒に転倒してしまう危険性があるためです。
次のような状況は、事故の一歩手前のヒヤリハットと言えます。
・階段昇降時に足がもつれる
・体がふらつき、介助者が慌てて支えた
・途中で足が上がらず、動けなくなってしまった
・雨天時や冬場に滑りそうになった
このようなヒヤリハットは、いつ重大な転倒や転落事故につながってもおかしくありません。
階段でのヒヤリハット対策として有効なのが、いす式階段昇降機の設置です。
階段に専用レールを設置し、その上をいすに座ったまま安全に昇り降りできるため、足腰に不安のある方でも無理なく移動できます。
いす式階段昇降機の主なメリットは、以下のとおりです。
・安全に階段を移動できる
・介助者の身体的負担を大幅に軽減できる
・転倒リスクを大きく減らせる
・自立した生活を支援できる
このように階段昇降の不安を解消できることから、いす式階段昇降機は多くのご家庭で利用されています。
今回ご紹介するW様邸では、80代のお母様が階段の昇り降りに問題を抱えていました。
お母様は足腰が弱っており、普段は車いすを利用されています。
訪問介護をほぼ毎日利用し、介護職員のサポートを受けながら生活されていました。
しかし、生活の中で大きな課題となっていたのが、玄関前にある8段の外階段です。
室内では車いすで移動できるものの、通院や外出のたびにご家族が階段を介助する必要があり、その負担は大きいものでした。
実際にヒヤリハットを何度も経験され、危険性を感じていたそうです。
そこで、ご家族は家を建てた時の建築会社様に相談し、いす式階段昇降機と風除室の設置を決断されました。
外階段にいす式階段昇降機を設置する場合は、「屋外用の機種を設置する方法」と「風除室を設けて屋内用の機種を設置する方法」の2つがあります。
今回採用した「風除室を設けて屋内用の機種を設置する方法」のメリットは、以下のとおりです。
・雨や雪の影響を受けず、快適に利用できる
・風除室を設けることで、比較的安価な屋内用の機種を選択できる
もし風除室がない場合、雨の日は介助者が傘を差したまま介助し、階段の昇り降りを行う必要があります。
これでは介助が難しくなるだけでなく、介助者自身も足を踏み外すリスクが高まり、危険です。
一方、風除室があれば、階段昇降時に雨や雪に濡れる心配がなく、安全に介助できます。
さらに屋内用の機種を選ぶことで、費用の負担を軽減できる点もポイントです。

▲風除室を先に設置
今回の事例で設置したのは、屋内用・直線階段用の「エスコートスリム」です。
コンパクトな設計と静音性、シンプルでわかりやすい操作性に定評があります。
主な特長は、以下のとおりです。
・5色のカラーバリエーションから選択可能
・操作が簡単なレバースイッチ式
・コンパクト設計のため、設置後も階段幅を確保しやすい
・キースイッチによる誤操作やいたずらを防止
・2段階のいす回転機能を搭載
・ひじ掛けと足のせ台が連動し、立ったまま操作可能

▲上階 乗降場所(85°回転時)

▲いす折りたたみ幅は25cm
また、最下階部分には風除室のドアがあるため、建築会社様のご提案により足台を加工して対応しました。
これにより、下階は2段目で乗り降りできるようにしています。

▲最下階のレール位置

▲下階の乗降時の様子

▲加工した足のせ台
設置後、息子さんに試乗していただいたところ、「母親に便利に使ってもらえそうです」と安堵されたご様子でした。
階段でのヒヤリハットは、「たまたまケガをしなかっただけ」かもしれません。
同じ状況が続けば、いずれ重大な事故につながる可能性が高いサインです。
W様のように、ヒヤリハットをきっかけに早めの対策を行うことで、ご本人とご家族の安全と安心につながります。
階段昇降に不安を感じている方や介助に負担を感じているご家族は、重大な事故が起きる前に、いす式階段昇降機の設置を検討してみてはいかがでしょうか。
また、いす式階段昇降機の設置に関する質問や不安などございましたら、お気軽にお問い合わせください。