高齢者の就労が増えるなか、「生涯現役で働き続けたい」と願う方は少なくありません。
しかし、本人にやる気があっても、その思いを妨げる要因のひとつが体調の変化による階段昇降です。
そこで今回は、階段昇降機を導入し、職場のバリアフリー化を実現したヤマヒロ株式会社様の取り組み事例を紹介します。
ヤマヒロ株式会社様は、北海道帯広市内の建物の2階を事務所として使用しています。
そのため、出社時は階段を昇る必要があります。
しかし、社長は疾患の影響で医療用酸素を使用しており、階段の昇り降りが大きな負担となっていました。
具体的な問題は以下のとおりです。
・階段を昇るのに、2回ほど休憩を取る必要がある
・2階に着いた後も、約10分間息を整えなければ会話ができない
このような状況のなか、社長は知人から地元の福祉用具貸与事業所で階段昇降機を取り扱っていることを聞きました。
「仕事を続けたい」という社長の強い思いが、階段昇降機の設置を後押ししました。
事務所までの階段は、17段のうち上階2段で90度に曲がる構造になっています。
このような階段では、曲線階段用の機種を選ぶことで、階段の形状に沿って下階から上階まで設置できます。
しかし今回はあえて、直線階段用の機種「エスコートスリム」を採用しました。
その理由は、オプションの「手動式折りたたみレール」を使用する必要があったためです。
※手動式折りたたみレールとは、下階側に設置可能な手動で折りたためるレールです。レールの出っ張りをなくすことで、動線の確保やつまずき防止に役立ちます。
➡ 詳しくは、「エスコートスリム」製品ページをご覧ください。
ここでは、ヤマヒロ株式会社様の事例で直面した課題と、その解決に向けた工夫を紹介します。
階段のすぐ下には防犯シャッターが設置されており、通常のレールを取り付けるとシャッターが干渉して閉められなくなるという課題がありました。

▲設置前の下階の様子
●解決策
防犯性を保ちながら、安全に昇降できる環境を整えるために、「エスコートスリム」オプションの手動式折りたたみレールを採用しました。
使用しないときはレールを折りたたむことで、シャッターの開閉スペースを確保できます。

▲手動式折りたたみレールを採用
次の課題は、レールを折りたたむと階段の手すりに干渉してしまうことでした。
●解決策
干渉していた部分の手すりのみ(約50mm)をカットすることで、問題を解消しました。
当初はすべてを撤去することも検討しましたが、安全性と利便性を確保するために最小限に抑えています。
階段上部は2段が90度に曲がる構造です。
直線階段用の機種を設置したため、階段途中で乗降する必要がありましたが、乗降場所の狭さが課題でした。
●解決策
16段目の踏み面を広げ、十分なスペースを確保しました。
さらに、階段正面に新たな手すりを追加し、乗降時の安全性を一層高めています。

▲16段目の改修工事(右:コンセント増設)

▲改修工事後の様子

▲左:上階収納時 右:上階停止位置
社長ご自身に試乗していただいたところ、酸素ボンベを背負い、カバンを膝に置いた状態でも安定して昇降ができました。
社長からは、「慣れれば、もっとスムーズに使えるようになるだろう」とのご感想をいただいています。
また、手動式折りたたみレールは、事務員さんが防犯シャッターを閉める際に操作されています。
企業のバリアフリー化は、安全性や快適性を高め、従業員が長く働き続けられる環境づくりにもつながる重要な取り組みです。
階段の昇り降りに不安を感じている方や、社員のためにより安全な職場環境を整えたいとお考えの経営者様は、ぜひお気軽に北日本メディカルまでご相談ください。